ひらの矯正歯科|横浜市の矯正歯科 ブログ

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顎関節と矯正治療に関する講演会に参加してきました。

Orthodontics based on TMJという講習会に参加してきました。
Orthodonticsとは、矯正。TMJとは、顎関節の略称です。
顎関節(顎の関節)に基づいた矯正治療についてです。

顎関節講習会.jpg

いわゆる歯列だけ診るのではなく、顎の関節の位置に基づいた
矯正治療という内容です。

一般的に矯正治療は、歯並びを治す治療とだけと思われがちですが
実は奥が深く上下の歯をきちんと咬みあわせた時に
顎の関節の位置も正しい位置に合っていることも目標としています。

もしそうでないと、咬んだ時に顎の関節に負担がかかり
顎関節症の一因にも成り得ます。

顎の位置について補綴学(入れ歯、差し歯など)、口腔外科、矯正歯科など
歯科の分野でさまざまな研究が行われ、
いつもその重要性が議論されています。

今回、講演会の中で講師の先生が
「歯を綺麗にならべるだけならば、芸術と同じになってしまう。
矯正歯科は医療なので口腔周囲の健康を考えて歯並びを構築
しないといけない。サイエンスがないといけない。」との講演があり
大学病院の医局時代に当時の教授がおっしゃっていた
「矯正はArt and Scienceだ」との言葉と通じるものがありました。
私も大学医局員時代に顎関節症の症状がある矯正患者さんの発表を
学会で報告をした経緯があり、
この分野は重要視して日々、診療にあたっております。

治療の朝9時から夕方5時まで、
みっちり講演を聞かせて頂きとても身になるものがありました。
新たな刺激もありましたので日々の臨床にいかしていきたいと思います。

抜歯した場合のその隙間はどうしている?

今日は抜歯した場合のお話です。

基本的に非抜歯治療で健康に問題がなく仕上げることが
可能あれば非抜歯治療での矯正治療を計画していきますが、
長く安定した歯列を維持するために抜歯治療が必要となり得ることがあります。
非抜歯治療だから必ず良いというものではなく、
抜歯治療の方が良い、メリットがある場合もあります。
顎の骨のサイズによっては無理やりスペースがないところに
永久歯を詰め込むよりも安全な場合もあるからです。

今回のテーマ、抜歯して生じる隙間が閉じられるまでの間に
どうしているのかという疑問に関してお答えします。

特に裏側矯正(舌側矯正、リンガル)の場合は、
治療中も見た目を気にして選ぶため、
抜歯したスペースがそのままになってしまっていては
目立ってしまい気になるところかと思います。

答えからいうと、Tek(テック)と呼ばれる
仮歯のようなものを装着するのが一般的です。

例えば第一小臼歯(前から4番目の歯)を
抜いた場合は第二小臼歯の近心(前より)に
プラスチック製のテックを接着します。
このテックは厚みがなく、
あくまで表から見たときに歯があるように見えるものです。

テックを装着するメリットとしては、
抜歯したとしても、いわゆる「すきっ歯」にならず
見た目が気にならなくなります。
ただ、完全にスペースを埋めるということありません。
当然ながら、残っている歯を動かしてスペースを閉じていきますので、
次回来院時までに動く分は最低でも隙間を作る必要があるからです。

そのようなテックですが、注意していただきたい点もあります。
それはあまり硬い物をテックの部分で噛まないようにということです。
先に書いたように、テックには厚みがないプラスチック製のものになります。
そのため、食べ物を噛むということには適していません。
あまり強い力がかかると外れてしまう恐れがあります。
もし外れてしまった場合は、もちろん当院にて再セット致します。

矯正治療は日々進化してきています。
患者さんの要望に応えられるよう矯正材料も進化していますし、
矯正専門医としての技術、知識や情報も常に進化し続けています。
今回は治療途中における心配ごとに関してのないようになりますが、
ふと思った疑問などもいつでもお問い合わせ頂ければと思います。

横顔のチェック

今回は、横顔の審美について以前より少し詳しく書いてみようと思います。

矯正治療を受ける理由で多いものの一つは、見た目の改善で
上顎前突(出っ歯)や下顎前突(反対咬合、受け口)などのような
重度の不正咬合に限らず、軽度の叢生(デコボコ、乱ぐい歯、八重歯)など
多くの患者さんに共通して求められていることかと思います。

矯正治療に入る前の診断の段階では、
様々な角度から現状の確認、検査を行いますが、
今日はその中でも横顔にフォーカスして見ていってみましょう。
矯正専門医としてどういった観点から
確認しているのかの一部紹介になります。

E E-line(エステティックライン)

E-lineというのはエステティックラインの略で、
イーラインと読みます。
真横から見たときの鼻の先端から下あごの最も飛び出ている点を結んだ線を指します。

一般的に口の先端、つまり上唇と下唇が
このE-lineから2㎜程度内側にある状態が審美的とされています。
現代日本人の場合は、このラインに唇が触れる状態の方が多く、
欧米人の場合は鼻が高いこともあり、
上下の唇の位置はこのラインの5~6㎜程度内側にあるのが一般的になっています。
鼻の高さにも影響を受けますが、歯が突出していたり、
下顎前突の場合には唇がこのラインの外側に出てしまうこともあります。

②鼻唇角

鼻の先端から鼻の付け根までのラインと、
鼻の付け根から上唇を結ぶラインとの間の角度を指します。
平均で考えると、日本人の場合は90°から100°前後、
欧米人で90°から120°ほどが平均といわれています。
この角度が極端に大きく、あるいは小さくなることで
見た目にもだいぶ影響が出てきます。

③頤(オトガイ)
下あごの先端部分のことを頤といいます。
下唇の先端から頤を通ってのどに行きますが、
この頤までのラインがS字のようになっているものが審美的と考えられています。
また頤に関しては、正面から見た際にシワが寄っているかどうかなども確認します。

審美に関しては人それぞれの価値観に左右されるので、
必ずしもこれが美しいと断言出来るものではありませんが、
ほとんどの不正咬合の患者さんをチェックすると、
上記項目から大きく離れているということがわかります。
ご自身のチェックだけでなく、好きな芸能人や有名人の写真などで
チェックしてみても面白いかもしれませんね。

審美的な側面からの自己チェックの一つヒントになれば幸いです。

大人の矯正治療のメリット

今回は、大人の矯正治療に関して書いていこうと思います。

子供の矯正治療に関しては、顎の骨の成長をある程度コントロールしながら
永久歯を抜かない非抜歯での治療の高めることができるなどが言われていますが、
成人の矯正治療に関してもいくつかメリットはあります。

以前、主体的に矯正治療に取り組めることで、
着脱式の矯正装置もしっかりと使い、
治療期間が比較的予定通りになる傾向があるということを
書いたこともありますが、今回はそれ以外のメリットをいくつかご紹介します。

①  すぐに治療を開始できる
小児矯正と違い、成人矯正はすでに永久歯列になっているため、
歯の萌出を待つ必要はありません。
基本的に12~13歳程度までに28歯全てが生えそろいますが、
小児矯正の場合は最終的な咬合、歯列の仕上げとして永久歯が
全て出てくるまで待つ期間が生まれることがあります。

②  抜歯、非抜歯が明確

基本的に抜歯が必要になるケースというのは、
歯列を並べる顎のスペースが足りない場合です。

子供の場合、骨の成長過程にある為、
成長を促しながらスペースを確保し、
非抜歯治療の方向に比較的持っていきやすいというのはあります。
しかし、遺伝の要素も含まれるため、
最終的に顎の骨がどこまで成長するかは
あらかじめ完全にわからない部分がある為、
実際に治療途中で方針が変わることもあります。

それに対して成人矯正はすでに骨の成長過程は終わっているため、
矯正治療開始前の直近の段階で抜歯が必要かどうか
わかりやすいということが言えます。
非抜歯で治療する方法としては
歯を並べるスペースを確保する方法として
歯列弓(アーチフォーム)を広げる、
大臼歯を奥に移動させる、など様々ありますので、
矯正専門医にご相談下さい。

③  治療装置を自分で選ぶことが出来る

これはある意味当たり前のことですが、
矯正装置を自分の判断で決めることが出来るということもメリットです。
審美性を優先するために裏側矯正(舌側矯正、リンガル)を
選択することもできますし、費用面を優先するために表側矯正を選択する、
あるいは痛みなどを軽減するためにセルフライゲーションを選ぶこともできます。

ご自身の生活状況、お仕事の種類なども含めて相談し、矯正治療を行えます。
また治療期間中に思った疑問もすぐに聞くことが出来ます。
これはほとんどの場合ご自身の意志で矯正治療を開始しているため、
多くの患者さんが日々治療に関して矯正専門医と
コミュニケーションを取りながら矯正治療を進めていく傾向があります。

他にもメリットは様々ありますが、
基本的にご自身の意志で矯正治療を始められる
ということがベースにあるのではないでしょうか。

また矯正治療は口腔内の状況によりますが
基本的に年齢関係なく行えます。
気になった時に矯正専門医に相談してみていただければと思います。

ビジネスパーソンの歯列矯正

今回は少し趣向を変えて、ビジネスパーソンと歯列矯正について
お話していきたいと思います。

皆さんの周りの方で、矯正治療をされている方を少し思い出してみてください。
家族・友人など思い出されるのは様々かと思いますが、
性別で言うと女性を思い出された方が多いのではないでしょうか?
これはこれまで歯列矯正が見た目の改善など
審美的なイメージが強かったからではないでしょうか?

実はアメリカなどでは、ビジネスパーソンの出世の妨げになるものとして、
「肥満」「喫煙」が代表的な要因に挙げられていますが、
それと並んで「歯並びの悪さ」も関係していると言われています。
しかし、客観的に考えてみるとこれは日本でも同じことが言えると思います。
それでは、男性にどれだけ矯正治療が広がっているかを調査したデータがありますので、ご覧ください。

年齢別2.jpg

男女別2.jpg

少し古いデータにはなりますが、
年齢比較から見てみると18歳以上の大人になってからの
矯正治療の割合は高くなっています。
また、男女比較で見てみると、わずかではありますが
男性の治療割合が増加しております。
この調査から、少しずつではありますが男性の方々にも
審美面や健康面から矯正治療が広がってきているのではないかと思います。

最近の男性のケースで考えると、営業やサービスなど、
人と接する機会の多い方の歯並び相談が増えてきています。
また以前ご紹介しましたが、英語を仕事で使う方も相談が増えています。
発音の問題と、歯並びに対する海外の方の意識に自分も合わせていく
ということをおっしゃっています。
中にはパートナー(奥さんや彼女さん)に言われて来た
という方もいらっしゃいます。

若いうちに治療を行った方が確かに歯の移動も早く、
叢生(乱杭歯、凸凹)なども治るのが早い傾向があります。

しかし、重度の歯槽膿漏などが無い限りは矯正治療を行えますので、
社会で活躍されている男性もこの歳になってと思わずに、
一度検討してみてはいかがでしょうか。

矯正装置も見えない裏側矯正(舌側矯正、リンガル)を
選択することもできますので、治療の費用や期間など
気になることはカウンセリングでご相談に乗らせていただければと思います。