ひらの矯正歯科|横浜市瀬谷区の矯正歯科 ブログ

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マスク生活から笑顔と発音について考える

最近ではwithコロナの生活にも慣れてきて、マスクをする生活が当たり前になってきています。

日本人はとても器用なため、マスクをしたままでも目元の動きなどでその人の感情などがある程度読み取れるという話を聞いたことがあります。
目は口程に物を言うといいますが、そうはいってもやはりマスクをしたままだとすべての感情・表情を読み取るのは難しく、外した時に思っていた印象と違うなと思うケースも多々あるのではないかと思います。

これに対しアメリカなどでは、発音の際に口元を大きく開けて発音し、笑う時にも歯を見せてスマイルを作るというのが当たり前の文化と言われており、口元の印象をとても大事にしています。

また、日本人があまり歯並びや口元の綺麗さにこだわっていないと言われるエピソードで印象に残っているものがあります。
2002年に共催となった日韓ワールドカップの際、韓国のソウルで地元の人が韓国人と日本人を見分ける基準として「悪い歯並びと濃いメイク」で判断していたという声もあったそうです。
遠いアメリカと美意識の違いがあるというのはまだ納得ができるのですが、アジアのお隣である韓国ともそれほど意識の違いがあるのだと少し考えさせられるようなお話でした。

とはいえ、それは昔のお話なので最近は以前よりも歯並びを気にする人が増えてきているように感じます。
マスクをしているうちに矯正治療を受けたいというケースが増えているのはもちろん、マスクをつけているときやWEB会議などで滑舌や発音が悪く相手に聞き取ってもらいにくいため治療を受けたいといった見た目以外に関する相談も増えてきました。

不正咬合が原因で、上下の歯の噛み合わせが悪く隙間ができてしまうと、「サ行」の発音がしづらくなる場合があります。
サ行は「歯擦音」といい、上下の歯を擦り合わせ、その隙間に息を通すことによって発音するため、上下の歯が噛み合わない状態では正確に発音することが難しくなります。

また、日本語よりも英語の方が発音の区分けが細かいため、正確に発音ができないと言葉の意味も変わってくるので、伝えたいこともうまく伝わらないという場合も考えられます。
不正咬合によって歯の隙間から空気が漏れてしまうと、特に英語の「s」と「th」の場合、前歯の間に舌を入れて発音する「th」も、ネイティブの方には正しく「th」の発音に聞こえないことがあります。

コロナ禍で人とのコミュニケーションの取り方が徐々に変わってきました。
おそらくマスク生活がなくなっても、ウェブ会議などは当たり前に続くと思います。
笑顔や美容的側面から治療をするのはもちろん大切ですが、発音や機能的な側面からも矯正治療について考えて頂ければと思います。

質問事項を明確にしておこう

今回は、主に矯正相談に来られる前の話になりますが、質問事項についてまとめておいていただくことの重要性についてお話していきます。

こちらを読んでいただいている方は矯正治療前、もしくは検討中という方が多いかと思いますので、まずは矯正治療の流れについて紹介していきます。

1、カウンセリング
カウンセリングはお口の悩みや治療に関する質問や相談をする場です。
なぜ治療をしようと思ったのか、どこが気になるのかといった主訴を歯科医師に伝えて、歯列矯正のメリットやデメリット、装置の種類、おおよその治療期間、通院回数、費用など、歯や治療に関する説明をいたします。患者さんごとに考えていること、求めていることは全く違いますので、ひらの矯正歯科としてもとても大切にしている時間です。

2、精密検査
歯並びや噛み合わせの状態、骨格や歯の生え方などを専門の機器を使用して検査していきます。
歯型の採取や噛み合わせの検査、レントゲン撮影(口腔内・頭部)、写真撮影(口腔内・顔貌)、虫歯や歯周病のチェックなどを行います。この検査を基に、治療の計画を立案していきます。

3、診断と治療計画説明
カウンセリングと精密検査の情報を基に、歯科医師が治療計画を立案していきます。
そのため、カウンセリングから数日から十数日後に再度訪問をしていただき、治療計画の説明を行います。
初診時のカウンセリングでは、おおよそであった治療期間や通院回数、費用、抜歯の有無などもこの時に決定します。

4、治療の準備・治療開始
治療を受けることが決まったら、まずは口腔内の状態をチェックします。
虫歯などがある場合はまずそちらの治療を行い、抜歯の必要があれば処置を行います。
(虫歯、抜歯は当院では行っていないため、かかりつけ歯科医院または提携歯科医院をご紹介致します。)その後、矯正装置を取り付けて治療開始となります。

この様な流れで治療を開始することとなります。
前述のカウンセリングと治療計画の説明の時に質問などをしていただけるので、この時にしっかりと聞きたいことや疑問に思っていることを聞いてもらえたらと思います。
よく聞かれる内容としては以下のようなものがあります。
・治療の開始時期や治療方法(例:舌側矯正か可能か?何歳から治療を開始するのが良いのか?など)
・治療期間や費用(例:結婚式や就職活動までに治療は終えられるか?医療費控除について?など)
・治療中の生活(例:部活動への影響は?発音や食事のしにくさはどの程度か?など)
・転医について(例:転勤の可能性があるが、その際にはどうしたらいいのか?進学で県外に出る予定だが、治療に通うペースは調整できるのか?など)

この他にも、患者さん毎に気になることやわからないことはたくさんあると思います。
ただ、説明を受けながら全て思い出して質問するのは大変だと思いますので、予め聞きたいことはまとめておいていただけるといいのではないかと思います。
また、治療計画の立案にも患者さんの要望などは出来る限り取り入れて進めていきますので、もれなく伝えていただくことでよりスムーズな治療へとつながります。

ひらの矯正歯科では患者さん一人一人のお話をしっかり聞く所から治療が始まると考えています。
それは、一人一人の不正咬合の状態が違うだけでなく、その原因も違い、さらに患者さんご自身がどういった部分を改善したいのかも違うからです。
一人一人丁寧な治療をオーダーメイドで提供するため、出来る限り相談時に質問漏れがない方が良い治療計画と治療提供につながると思います。
勿論治療開始後にもわからないことなどは出てくると思いますので、いつでも遠慮なく質問や要望は仰っていただけたらと思います。

日本舌側矯正歯科学会とは

こんにちは。11月に日本舌側矯正歯科学会に行ってまいりましたので、
今回は、日本舌側矯正歯科学会という学会について紹介していきたいと思います。

“日本舌側矯正歯科学会は、日本での舌側矯正を発展させていくため、
会員相互が意見・技術を交換して、より高度な術式を習得するための場を提供することを目的として10人の有志により、1988年に結成されました。
本会の年間活動では、総会や舌側矯正のタイポドントコースの開催および学会雑誌の発行をおこなっています。対外活動として、アメリカやヨーロッパの舌側矯正学会の総会での発表、ケースプレゼンテーションの支援を行っています。”
(引用:学会紹介 | 日本舌側矯正歯科学会 (jloa.org))

上に書いた内容が、舌側矯正歯科学会HPの紹介文となっています。そもそも舌側矯正とは、本来歯の表側に矯正装置とワイヤーを装着して治療を行っていたものを、歯の裏側に矯正装置とワイヤーを装着して治療を行えるようにしたものです。
昔は舌側矯正で使用する装置もかなり大きく違和感が強い、
治療できる症例が限られるといったデメリットがありましたが、日々の装置や技術の改良により、そういった問題も改善されてきています。

では具体的に、舌側矯正のメリットについても紹介していきたいと思います。

1、目立ちにくい
治療を検討する人の中で、この理由が一番多いのではないかと思います。
上にも少し書きましたが、矯正装置を歯の裏側に装着するため、よほど口を大きく開けたり、意識的に見ようとしないと矯正装置が見えにくくなっています。
最近ではコロナウイルスの蔓延から日常的にマスクを着用するようになっていますので、口元が露呈するのは食事などの限られた時間になってきています。
そのため、見えにくい舌側矯正で治療を行っていると誰にも気付かれないですといった患者さんのお声を聴くこともたくさんあります。

2、虫歯になりにくい
矯正装置を装着していると、ブラッシングがしにくくなります。
そのため、しっかり意識してブラッシングをしないと磨き残しから虫歯になるリスクが高くなってしまいます。
しかし歯の構造上、表側より裏側の方がエナメル質が厚く、虫歯になりにくくなっています。さらに、歯の裏側は唾液の循環も活発なため、唾液の自浄作用で虫歯菌が繁殖しにくくなっています。
この様な観点から、舌側矯正は虫歯になりにくいと言われています。

3、舌癖の防止
上顎前突(出っ歯)の方の多くは、常に舌で前歯を押している癖があります。
口を閉じてリラックスした状態の時には、舌は上の歯の付け根から1センチほど奥に下がったタンスポットといわれる位置にあるのが正常です。舌側矯正では、裏側に矯正装置が付いているので、舌がタンスポットの位置から上に動くことを防ぐことができます。
つまり矯正装置自体が舌癖防止の役割も果たすことになり、装置を外した後の後戻りのリスクが減る可能性が高いです。

この様に、舌側矯正ならではのメリットもたくさんありますが、一人一人オーダーメイドで治療計画と治療を提供するため、技術としては非常に難しい治療です。
そのため、きちんと舌側矯正で治療できる歯科医院は限られていて、今回の舌側矯正歯科学会での発表では、舌側矯正の認定医は全国で65名ほどしかいないとのことでした。
この舌側矯正認定医は、5年ごとに症例(舌側矯正で治療した結果)を発表し症例審査を受ける必要があり、今回私も認定医更新のために症例発表をしてきました。

舌側矯正歯科学会など、専門知識や新しい技術を習得できる場は非常に有意義なため、私も可能な限り参加して知識を向上するように努めています。
皆さんの中で、舌側矯正に関してわからないことや疑問に思うことなどある場合は、いつでもお気軽に質問しに来てください。
しっかりと理解していただくまで説明するように努力しています。

マウスピース型矯正装置に関して

今日は、ここ数年で広がってきたマウスピース型カスタムメイド矯正装置に関して少し書いてみようと思います。

もともと矯正治療は、ブラケットと呼ばれる矯正装置を歯に装着し、そのブラケットに形状記憶の細いワイヤーを通して歯を動かしていくという物でした。表側に金属のブラケットをつけることで、矯正治療中の見た目が気になるという患者さんが多く、ブラケットが白や透明のものになりました。更に裏側に矯正装置を付ける舌側矯正(リンガル)が進化し、矯正治療中に見た目を気にすることが無くなりました。

そんな中登場したのがマウスピース型矯正装置で、インターネット上でもマウスピース型カスタムメイド矯正装置で治療する歯科医院がよく見られるようになってきました。

このマウスピース型カスタムメイド矯正装置に関しては、様々な見解があり、単に「簡単」「見えない」といったことだけで治療を受けるとトラブルになることも出てきているようです。

また、日本矯正歯科学会が、このマウスピース型カスタムメイド矯正装置に関して見解を示していて、患者さんにとっても大切なことなので紹介しておきます。

【公益社団法人日本矯正歯科学会 ポジションステートメント マウスピース型カスタムメイド矯正装置による治療に関する見解】として、2019年6月に発表されています。

この中で2つ重要なことが挙げられています。(以下抜粋:http://www.jos.gr.jp/news/2019/0605_13.html)

① 「患者自身の独自の判断でこれらの製品を使用し歯の移動を行うことは、歯科医学的にも非常に危険であるため絶対に避けてください。」
② 「大学病院等や学会が認める基本研修機関において十分な矯正歯科領域全般にわたる基本的な教育と臨床的なトレーニングを受けた歯科医師による診察、検査、診断を基に治療を行うことを推奨します。」

最近歯科医師を通さずに歯並びを治せるという情報も出てきているようで、その点が特にトラブルを生んでいるようです。

実はこのマウスピース型カスタムメイド矯正装置の多くは、「海外技工物」として、日本の厚生労働省を通さないで販売されてしまいます。厚生労働省の管轄ではなく、「モノ」なので経済産業省の管轄になってしまいます。そのため、実際は医療として使用されるものも、チェックを受けずに存在できてしまうのです。

これは何を意味しているかというと、万が一トラブルが起きても何の保証もないということになってしまい、患者さんご自身が取り返しのつかないことになってしまうリスクがあるということです。

マウスピース型カスタムメイド矯正装置は、治療中目立たない、歯磨きが楽、金属アレルギーでも大丈夫など、様々なメリットがあります。しかし同時に歯の動きの限界があったり、患者さんの不正咬合の状態や原因によっては適さないこともあります。

ひらの矯正歯科でも「アソアライナー」という日本国内で専門の歯科技工士さんが作るマウスピース型カスタムメイド矯正装置での治療を行うことが出来ますが適応症がありますので患者さんの状態をしっかりと検査し、診断してから見極めてから判断していくことが大事だと考えています。
マウスピース型カスタムメイド矯正装置は適応症が限られていますので当院では基本的には、より実績のある従来のワイヤーによる矯正治療をお勧めしています。

ワイヤー矯正、マウスピース型カスタムメイド矯正装置に関して気になることがあれば、メリット、デメリット・リスクなどをしっかりとご説明いたしますのでいつでもご連絡ください。

注)マウスピース型矯正装置を用いた治療は保険適用外の自由診療となります。
厚生労働省の認可(医薬品医療機器等法上の承認)は得ていないため、まだ明らかになっていないリスクが存在する可能性があることをご了承ください。
また、完成物薬機法対象外の矯正装置であり、医薬品副作用被害救済措置の対象外になることがあります。

歯科検診と矯正治療

今回は、お子さんの学校での歯科検診で、矯正治療を勧められた場合についてのお話をしていきたいと思います。

学校の歯科検診は、地域の歯科医師会に所属している先生によって、お子さんの口腔内の状態を把握するために行われている検診の事です。
主な検査項目として「①細菌感染が原因の虫歯の有無」「②歯肉が炎症を起こしていないかどうか」「③乳歯から永久歯への生え変わり状況は適切かどうか」「④歯並びや噛み合わせの状態に異常はないかどうか」というような項目についてチェックをして、問題のあるお子さんにはその旨を伝えて治療を促すということになります。

歯科検診で矯正治療を行うべきと診断される場合は、見た目の問題だけではなく、咬合の悪さからくる頭痛や、顎関節炎など、様々な身体的トラブルを引き起こす可能性がある時です。不正咬合の種類にも叢生(デコボコ、乱ぐい歯)、上顎前突(出っ歯)、下顎前突(受け口、しゃくれ)、開咬や過蓋咬合など挙げ出したらきりがないですし、複数の症状が併発していることもあります。
軽度であれば治療を勧められることはありませんが、機能的に問題が起こりそうな場合などには治療を検討してみることを勧められることがあります。

また、早いうちに不正咬合を改善することによって、食事の際にしっかりと食べ物を噛み砕き、消化吸収の効率を良くする、綺麗な歯並びを手に入れることによってコンプレックスを取り除き、精神的な面でいい影響を与えるなどの効果も見込まれます。

お子さんによって矯正治療を始めるべきタイミングは異なりますし、歯科医師によって意見が分かれることもあります。絶対の正解を出すという事は難しいケースもありますので、複数の歯科医院に相談に行き、総合的に判断してみるのも有効ではないかと思います。
当院でもわからないことなどはしっかりと説明するように努めていますので、疑問に思うことなどあればいつでも相談に来ていただけたらと思います。