歯周病と肝臓の関係について:「ひらの矯正歯科」ブログ

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歯周病と肝臓の関係について

今回は、歯周病と肝臓の関係というテーマでお話していきたいと思います。

 

歯と肝臓と聞いて、関係があるとはなかなか思えないのではないかと思います。

また、肝臓の疾患として、アルコールの摂取が多い方など特定の方以外あまり健康診断などでも気にされていない方も多いのではないでしょうか。

しかしながら、近年の研究で歯周病と非アルコール性脂肪性肝炎の関係に注目されるようになってきました。

 

ではまず、非アルコール性脂肪性肝炎とはどのようなものかを説明していきます。

「脂肪肝」という言葉は多くの方が聞いたことのある言葉かと思いますが、

その脂肪肝は原因によって分類されています。

ひとつはお酒の飲み過ぎによる脂肪肝で、アルコール性脂肪肝と呼ばれており、

これに対してお酒をあまり飲まないのに発症する脂肪肝を非アルコール性脂肪肝(NAFL)といいます。

この非アルコール性脂肪肝を放置すると、少しずつ肝臓の中の環境が悪くなり、肝細胞が風船のように腫れて弱ってしまい、弱った細胞が壊れてしまうことがあります。

その壊れてしまった肝細胞を片付けるために肝臓で白血球が集まり、その結果炎症として、「肝炎」が起きてしまいます。

それが長時間続けば、肝臓は炎症による破壊とその後の修復を繰り返すことによって、肝臓が硬くなる、線維化という現象が起きます。

これが、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)というものです。

 

次に、歯周病がどの様に非アルコール性脂肪性肝炎と関係するかを説明していきます。

健康な歯と歯肉の境目には歯肉溝という浅い溝がありますが、歯周病になると歯周組織が壊されて、歯肉溝は歯周ポケットと呼ばれる深い溝になります。

歯周ポケット内には歯垢や歯石が蓄積し、細菌が繁殖しやすい環境になっています。

歯周ポケット上皮は、歯垢の中の細菌によって潰瘍が形成されやすくなっており、

この潰瘍を通って、歯垢の中の細菌,細菌の産生する酵素や毒素が結合組織に侵入してきます。その結果、これらの物質が血管内に侵入し、血流に乗って肝臓に運ばれ、

炎症や線維化に悪影響を及ぼしてしまうという仕組みです。

 

2025年には、世界の人口の20%が肥満になると言われているほど、近年は飽食の時代です。健康診断でもメタボリックシンドロームの診断項目が追加されるなど、内臓脂肪に関しては少しずつ注目度が高くなって来ています。ただ残念ながら歯周病に関しては、日本でまだそこまで危険性について認知されていないのではないかと思います。

上で説明した様に、人間の体の不調は複数の原因が絡み合って起こっている可能性が高く、一概にこれが大丈夫だからすべて平気というわけにはいきません。

毎年の健康診断にプラスして、歯科検診もぜひ受けていただくことを推奨いたします。

そこで歯並びや嚙み合わせに関して悩んでいることがある方などは、いつでもお気軽にご相談ください。