2021/12/28
今回は、歯の噛み合わせと医療費の関係性というテーマでお話していきたいと思います。
今年の7月に、歯磨き粉やマウスウォッシュなどで有名なSUNSTARが、噛み合わせと医療費に関する論文を発表しました。
20歳から74歳までの労働者25万人の定期健康診断と医療機関の診療情報に関するデータをまとめたものなのですが、
ここまで膨大なデータ量の研究結果は珍しいため、比率などに関しても信頼がおけるデータなのではないかと思います。
では早速内容について見ていきたいと思います。
今回の研究比較データとしては、以下のテーマが中心になっています。
ではこちらの結果を一つずつ見ていきます。
1、歯の本数と医科医療費の関係
研究内容:20~39歳、40~49歳、50~59歳、60~74歳までの4つの年齢帯に男女別に分類し、
歯の本数が28本、24~27本、20~23本、19本以下の人それぞれにかかる医科医療費を比較しています。
結果:男性の20~39歳までの年齢帯では有意差がなく、
それ以外全ての年齢帯では歯が1本以上抜けている人は28本すべて揃っている人と比較して医科医療費が高くなる傾向にあるという結果が出ていました。
2、歯の咬合と医療費の関係
研究内容:先程と同じく男女別に年齢帯で分類を行い、
アイヒナー分類(A分類:左・右の小臼歯部と大臼歯部の4領域全てで上下の歯がかみ合う良好な状態、A1:欠損歯なし、A2:上の歯か下の歯のどちらかで欠損歯あり、A3:上下とも欠損歯あり、B分類:上下の歯でかみ合う領域が3領域以下、C分類:上下の歯でかみ合う領域がない)という分類方法別に掛かる医科医療費を比較しています。
結果:こちらも20~39歳男性で有意差はなく、それ以外の男女の年齢帯では歯の咬合状態が良好な程、
医科医療費が低くなるという結果が出ていました。
3、歯の本数・咬合と医療費の関係
研究内容:男女毎に歯の本数が24~28本、20~23本、19本以下に分類し、
歯の本数が同程度の人の中で咬合状態別に掛かる医科医療費を比較しています。
結果:歯の本数が19本以下の女性では有意差は見られなかったのですが、それ以外の分類では歯の本数が同程度の場合、
咬合状態が良いほど医科医療費が掛かりにくいという結果が出ていました。
歯の本数が少なくなったり、噛み合わせが悪いと医科医療費が多くなるというのは経験上理解していましたが、
歯の本数毎に噛み合わせと医科医療費を算出したというのは非常に面白い研究結果になったなと感じました。
これは歯をたくさん残すのはもちろん大事なことですが、たとえ歯が抜けてしまっている人でも噛み合わせがしっかりしていることが大事ということを意味しています。
若いころに早めの矯正治療も効果的ですが、年齢が上がってからも将来のために矯正治療を行うことは有意義なことではないでしょうか。
もし内容などで不明な点があればいつでもお問い合わせください。